小療理屋~こんだ~

2018年12月、25歳で大腸がんステージⅣと宣告されました。料理が好きなのでブログ名は小料理屋とかけました(笑)。前向きな闘病記にしたいです!

旅立ち

こんばんは。

店主けんじの嫁です。


コロナウイルスがここまで社会に影響をもたらすとは思ってもみなかったので驚いてばかりです。

多くの方は、そんなのかからないだろう。と考えると思うのですが、免疫力が弱くなっていた治療中の人間が近くにいた者としては、やっぱり怖いです。

そういう意識はやぱ大切だと伝えていきたいなと思います。




2020/02/05水

最期の日


夜中、私は一瞬深い眠りに落ちた。起きた時、ぞっとした。なんで寝たのかわからなかった。

今思うと賢治が休めって寝かせてくれたんだと思う。


目が覚めたら、痙攣。目の動きが怪しかった。こわい。賢治がつれてかれちゃう。けんじとみた劇の"死"

が頭からはなれなかった。けんじのすぐそばに"死"がいた。


お母さんがコーヒーを入れようと、病室で荷物をゴソゴソ、ミルを取り出した。会社の先輩から教えてもらったお気に入りの定期便コーヒーを豆からひいた。こんな状況なのに楽しかった。笑えるこの家族の強さにすごいと思った。


指につけ、けんじの口に運んでやった。そしたら、ぱっと目が開き、"がんばる。まだがんばる。"と

私もがんばるからね。って声をかけたら"わかった?"と


強い人。


コーヒーを教えてくれた先輩に感謝した。けんじのことを助けてくれてありがとうございます。けんじをこの世に戻してくれてありがとう。彼の心を救うのはやっぱりおいしいものなんだなぁと。

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朝日を見てほっとした。ピンク色でけんじの好きな萩焼の色。


おじさんおばさんおじいちゃんおばあちゃんがきた。

けんじの息がひゅーひゅーする。


2020.02.05 AM9:31 永眠。


3回、深く息を吸って眠るように旅立った。


安らかで、痛まなくてよかった。抱きしめながら旅立ってくれてよかった。けんじを1人にせずに逝かせてあげれてよかった。


体から汚いものを全て出しきり、けんじは旅立った。

お腹があんなに張っていたのに、亡くなる直前に全て出て行った。もっとはやくでてってくれればよかったのに。けんじが元気な時になくなればよかったのに。悔しい。






病院からけんじとおうちに帰るまでに、一緒に観に行った桜並木、魚をとりにいった川、買い物に行ったJA、そこら中にけんじがいて、未来にけんじがいなくて、いつも散歩してた道を探してしまう。


家にかえってきて、うれしい。さみしい。すごくさみしい。


それでも、けんじがお布団で寝て、顔の布をぱってとったら、すっっっごく笑っててなんか無性に腹立っちゃった笑


最期まで笑わせてくれるなんて、もう、大好きすぎて。


愛してる。


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